2018-01-01から1年間の記事一覧

ソロキャンプの夜

誰かを誘うのが、なんとなくめんどくさくて、ソロキャンプに行くことになった。 しかし、一人でキャンプの用意をするのもこれまためんどくさい。 めんどくさいづくしのまま、当日を迎え、本当は「夜明けとともに漕ぎだすぞ~」なんて意気込んではみたものの…

秋の遠征

秋の乾いた風に乗った潮の匂いが鼻をくすぐる。前夜は、近くに釣りにきていた職場の先輩たちと焚き火を囲んだ。夜も更けて、日のそばで横になっているといつの間にか眠ってしまっていた。火も絶えたころ、寒さに目が覚めてシュラフにもぐり込む。6時半に目…

はじめてのガイド

夏の暑い時期だった。 カヤックを使って海や川で遊ぶ日々を見た人から、ふいに「息子たちを夏休みに遊びにつれていってほしい」と頼まれた。 頼まれたからにはと、気分はすっかり憧れのアウトドアガイドになっている。 コースを考えるうちにできるだけ、自由…

ふたりでキャンプ

「この際、気兼ねなく、二人でいくか?」珍しく、どんぴゃりで意見が合った。最近のキャンプはビギナーも連れて大所帯で行うことが多くて、準備にはいつも骨が折れる。キャンプやカヤックに慣れてない人達の喜ぶ顔をみるのは嬉しいことだが、毎回ホスト側に…

古座川にて

古座川、小川ルートを最上流の瑞庄から下り初めて、そこからすぐに始まる柿太郎の廻りを抜けるに、まるまる二時間を要した。息つく間もなくやってくる、小さな瀬に、初心者の僕らはただただ、底を擦らないコースどりと、パドルの操作に夢中で、駆け足で過ぎ…

春と冬の間

春と冬の間というのは本当に短い。 少し気温が上がって、山から春の匂いが降りてきて、鳥たちが騒めき、木々が一斉に芽吹く。 おや、春かな。と思ったら、数日後には、もうすっかり春そのものになってしまう。 僕はこの冬と春の間の季節が大好きだ。 3月18日…

茶屋にて

カヤックキャンプの帰りに、たまたま立ち寄った茶屋にて。 切り立った崖に突き出したようなテラス席はダム湖を一望できる素敵な場所だった。 そして、手すりの際には、鳥たちの食事台が設けられていた。 普段は梢を見上げて、逆光の中のシルエットで種類を判…

沢の奥で

滝止まりの沢を抜けて、湖上に戻った僕らは、先ほど小さな景色とはうってかわった大きな空の下を漕ぐ。 右岸に目をやると、湖岸の道路に赤い橋がかかっていて、その橋を越えてすぐに、二股に流れの別れる支流があった。 右の支流は真っ直ぐ奥まで続く沢にな…

支流へ

ひとつ目の支流に入ると、景色は一変。 湖岸を走る道路の橋桁をくぐると、湖面につきそうなぐらいに頭を垂れた木々。川幅は15mくらいに狭まって、さっきまでの、大きなスケール感から、春の光を受けてきらめく葉が、枝の落とす影が揺れる世界へと変わった。…

三度目の宮川

宮川を訪れるのは三度目になる。 一度目は長ヶの発電所から頭首湖までの区間を、去年の春に漕いだ。深いV字の渓谷を素晴らしい天気の中下ることができて、味をしめた僕らはさらにその夏、未踏だったさらに上流の三瀬谷ダムのたもとから、長ヶ発電所までを漕…

春の嵐の夜に

風が窓を叩いた夜。 アスファルトを打ち付ける雨の音をきいて、「これは春の雨だなぁと」感じた。 初めてファルトボートを呼ばれる、折り畳み式のソロカヤックを購入した昨年。だいたいの漕行が、二人、ないし三人で遊びにいくことから、タンデムなら組み立…

初めての雪歩き

さて、仕事をさぼって地元の低山へ。 ここんとこ色々とあって外への欲求が凄くて。 標高が600mを越えたあたりから残雪がすごい。 アイゼン履く人に抜かされる。 一方こちらは雪に足を食い込ませて。 あるいは氷に足を滑らせながら、地面との繋がりを意識する…