支流へ

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ひとつ目の支流に入ると、景色は一変。 湖岸を走る道路の橋桁をくぐると、湖面につきそうなぐらいに頭を垂れた木々。
川幅は15mくらいに狭まって、さっきまでの、大きなスケール感から、春の光を受けてきらめく葉が、枝の落とす影が揺れる世界へと変わった。

これは来てよかったと、期待が確信に変わり、枝のトンネルを抜け、細かく蛇行する支流を上がる。
すると3メートルほどの滝にぶつかって、滝止まりというものを初めて見たことに感動した。
徐々に明らかになっていく滝の音へのワクワク感に引き寄せられて底がつくぎりぎりまで艇を寄せてしばらく滝の流れをじっと見ていた。
後ろこぎで方向を転換して、滝を背にして、きた流れを戻る。
すると今度は、しだいに離れて、小さくなっていく滝の音に重なる鳥の声がよく聞こえるようになった。

目のたかさの茂みが動くので、よく見てみると、一度見てみたかったルリビタキの群れに出会った。
深い群青色と、目が覚めるような黄色に見とれて、ここに一匹、そこにも一匹。と、時間を忘れた船が水面を静かに揺らしていた。僕らは滝止まりのこの沢をルリビ滝と名付けた(センスはない)