はじめてのガイド
夏の暑い時期だった。
カヤックを使って海や川で遊ぶ日々を見た人から、ふいに「
頼まれたからにはと、
コースを考えるうちにできるだけ、自由に。
三瀬谷ダムの上流は複数の支流が流れ込んでいる。
支流への導入も魅力的で湖岸の道路にかかる橋をくぐるところから
ちょっとした冒険心があるなら、
そんな思惑どおり、
冒険心は、浅くなって漕げなくなっても止まることを知らず、
腰まで浸かる淵をこえ、
ふたりでキャンプ
「この際、気兼ねなく、二人でいくか?」
珍しく、どんぴゃりで意見が合った。
最近のキャンプはビギナーも連れて大所帯で行うことが多くて、準
キャンプやカヤックに慣れてない人達の喜ぶ顔をみるのは嬉しいこ
兄弟二人のキャンプは、昼は暑さを避けてゴロ寝。
夕方涼しくなってから少しだけ海に出た。
わずかに釣れた魚を炭で塩焼きにして食べる。
それをツマミに思い出の曲を聞けば、燃え盛る焚き火につられて大
そんな気心知るもの同士だけキャンプは、ゆるい時間の流れる最高
古座川にて
古座川、小川ルートを最上流の瑞庄から下り初めて、そこからすぐに始まる柿太郎の廻りを抜けるに、まるまる二時間を要した。
息つく間もなくやってくる、小さな瀬に、初心者の僕らはただただ、底を擦らないコースどりと、パドルの操作に夢中で、駆け足で過ぎ去ってしまった。
それでもふと見上げた時に、視界を覆う深い谷間や、澄んだ水を力強く泳ぐ魚の多さ、山桜の咲く山肌は美しく、最高の川旅だった。
エントリー地点を探す道中で、集落の人に声をかけた。
当たり前のように、川遊びか~?と言い、車の置き場まで快く教えてくれたのは、花の催し物の立看板を立てている優しそうなおじさんだった。
一目にアウトドア好きと分かる良く日に焼けたお父さんとロードバイクを楽しむ息子と、二人組の親子に出ていく前に声をかけられた。
水量が多く、川下りに絶好のコンディションで気になって仕方がなく声をかけたとか。本流と支流、どちらがオススメが聞くと、迷わず支流だと言い、旅への期待が膨らんだ。
神戸から、週末はこの地に通うこの親子は、この場所が好きすぎて、自転車に乗った中学生の少年は、この春からここの高校に通うらしい。
川旅を終えて、タクシーを呼ぼうにも電波がなく、ヒッチハイクを試みた。
五分と待たず止まってくれたかわいらしい奥さんは、自分の車が汚い汚いと恥ずかしそうに言うが、一晩、焚き火の煙に浴び、水に濡れたそれどころじゃなく汚い僕らを嫌な顔ひとつせず、自分の家を通り越してまで、エントリー地点へ送ってくださった。
道中、ここの川は綺麗ですねと言うと、私らが暮らし出した時はもっと綺麗だったんだけどね。と窓の外の護岸に目をやり、少し寂しそうに言った。
ここで出会った人達は川と生きているんだなぁと感じた。
足早に過ぎた、スリリングな急流や美しい景色よりも、人と川に思いが寄り添って暮らす古座川が大好きになった。
沢の奥で
滝止まりの沢を抜けて、湖上に戻った僕らは、先ほど小さな景色とはうってかわった大きな空の下を漕ぐ。
右岸に目をやると、湖岸の道路に赤い橋がかかっていて、その橋を越えてすぐに、二股に流れの別れる支流があった。
右の支流は真っ直ぐ奥まで続く沢になっていて、左の沢は右巻きに大きくカーブして、先の見えない大変魅力的な沢だった。
僕らは左に進路をとり、蛇行する川路を遡上する。
川幅が2mほどに狭まったところの水際に、お地蔵さんサイズの観音様を見た。澄んだ川底には、人工物の後があって、ダム建造の時に沈んでしまった、なにかの跡地なのだろうか、と思いを巡らす。
すっかり木々の間が狭まって、日陰にちらつく日の光に、少しだけ厳かな気持ちになって、一礼して先に進んだ。
もうこれ以上漕げないという浅いところまで来ると、沢は2つに別れて澄んだ流れが合流している。山肌を背にして、流れが美しいこの場所がすっかり気に入って、今夜の泊まる場所を即座にここに決めたのであった。
支流へ
ひとつ目の支流に入ると、景色は一変。 湖岸を走る道路の橋桁をくぐると、
川幅は15mくらいに狭まって、さっきまでの、
これは来てよかったと、期待が確信に変わり、
すると3メートルほどの滝にぶつかって、
徐々に明らかになっていく滝の音へのワクワク感に引き寄せられて
後ろこぎで方向を転換して、滝を背にして、きた流れを戻る。
すると今度は、しだいに離れて、
目のたかさの茂みが動くので、よく見てみると、
深い群青色と、目が覚めるような黄色に見とれて、ここに一匹、